「豆酘」←読めない!対馬弾丸旅行記

皆さまこんばんは。鳥類担当こりんです。

最近はめっきり寒く……なりませんね。関東拠点の鱗音宅は12月だというのに窓を開けて過ごしています。

ウスタビガも今頃出てきているとか。今年は特に季節の進行がおかしいと肌で感じます。


さてこの11月の終わりに、弾丸で対馬に行ってきました。

鳥屋「なぜこの時期に?」

虫屋「なぜこの時期に?」

貝屋「なぜこの時期に?」

両爬屋「なぜこの時期に?」

各方面から疑問を呈されるこの日取りになったのは、直前に私の祖父母の法要が福岡で開催されたためです。

どうせ福岡まで行くのなら、どこかに足を伸ばしてみようか?と昆虫担当が(割と直前になって)提案してきました。


そうはいっても対馬、昆虫担当は3回目ですが私は初めての土地です。

時期はずれなこともあってあえて旅の目的を生き物に絞らず、対馬の名物料理店「あなご亭」でごはんを食べることに設定します。

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法事も終わり、福岡空港に向かおうとすると……在来線が踏切事故のため数時間遅れが出ていました。超やばい。スーパーソニック乗れない。

急遽切符を払い戻して小倉駅までタクシーを飛ばしてもらい、こんな時に初乗車、九州新幹線「さくら」へ飛び乗ります。車体の色かわいすぎ。

博多駅から地下鉄で2駅、よかった、だいぶ余裕を持って空港にたどり着いたぞ。


搭乗口へ向かうと……対馬便、機材到着の遅延により予定より50分遅れ。

このあたりで昆虫担当が震え出しました。「対馬行くとか言わなきゃよかった……行けないかも、いや帰れなかったらどうしよう……」

きっと大丈夫さと慰めていると、アナウンスが入りました。

「ご搭乗者さまへお知らせします。天草行きの便ですが、機材故障で機体が引き返したため、本日の便は運休となります。なお、この運休に伴うご案内はーーーー」

突然飛行機がなくなった人たちが路頭に迷う姿を眺めながら、ふと隣を見ると……

昆虫担当、青いを通り越して土気色をしている。ダメだ、もう助からないぞ。

吐きそうな顔をして動かなくなってしまった昆虫担当の背中をさすりながら、大声でレンタカーの手配をしている人たちの声を聞いていました。

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結果、対馬便は大幅な遅れがあったものの、無事に出発することができました。

いざ!福岡空港 FUK から対馬やまねこ空港 TSJ へ!飛べ、ちいさなプロペラ機、ボンバルディアDHC8-Q400!

プロペラ超可愛いね。往復でANAに荷物をボコボコにされたのは別のお話。このあと羽田に帰るJALは傷一つなかった……。

30分少々のフライトで対馬空港に到着。気流の乱れにより着陸がやや難航しましたが、着いちゃったのでもうこっちのもんです。

てのひらに収まりそうなほどのちいさな空港。でもちゃんとお土産売り場もあります。

この日はもう遅く、レンタカーを借りて宿に向かいました。

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翌朝は晴れ。放射冷却で寒い中、フィールドに出発です。

不思議な光景が広がっていました。川の景色が……一枚岩?でっか。

あたたかい缶コーヒーを手に観光を続けます。

こんなに寒いともうカタツムリもナメクジも動いてないね。どこかで冬眠準備してるんじゃない?こことか……

何気なく朽木を持ち上げると明るい色が見えました。ツシマサンショウウオです。

クロサンショウウオとオオサンショウウオしかフィールドで見たことがなかったので、あまりの鮮やかさに驚きの声を上げました。「え"」

とはいえ条例指定保護対象種。見なかったことにしてそっと朽木を戻します。

一緒に出てきたツシマアカガエルもご覧ください。

とても小さいけれど、これで成体サイズ。さっそく固有種の観察ができて幸先がいいです。

みんな、無事に冬を越すんだよ。

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この旅の間、対馬のいたるところで見かけたこの箱。なんだかわかりますか?

お前あの祠さ壊したんか!じゃないんです。なんと養蜂箱。

ニホンミツバチでの養蜂が盛んな対馬は、この養蜂箱がたくさん設置してあるそうです。

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アカハラダカには遅く、チョウセンケナガニイニイにも遅いこの時期、とにかくやることがないのでいろいろな場所の観光をしました。

昆虫担当がナビを見ながら口を開きます。「これ……読める?」

「豆酘」そう書いてありました。まめ……とう……き?なんだこれ?

現地に着きます。

「「「つつ」」」 読めるか!!!!!

今回行った南部だけでも、いくつかの難読地名に出会いました。

「豆酘(つつ)」←読めない

「厳原(いづはら)」←ギリギリ読めない

「雞知(けち)」←読める気がしてくる

豆酘崎では、海岸線に降りて散歩をしました。

突然のビーチコーミング。ツシマジカと……ウミネコ?

ヤマネコの痕跡を探しましたが、見つかりませんでした。やはりもう、南部にはヤマネコはいないんでしょうか。

ハイタカの羽を拾いました。

お昼ご飯を食べに向かいます。

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今回の旅の目的、「あなご亭」です!なんとお店の写真を撮り忘れる痛恨のミス!

わたしは「あなごせいろ蒸し定食」昆虫担当は「あなご天定食」を頼みました。

ふわふわで甘い身で、どんどん箸が進みます。

そして目玉はこの「あなごの刺身」!

本来なら血清毒により食べることの叶わないアナゴの刺身ですが、ここのお店ではプロが血抜きを行うので食べることができます。

手前に皮、肝、胃袋もついてきました。食感はごりごり、身は甘く旨みが強く、独特の呈味成分でいい香りがします。ずっと味わっていたい……!

たいへんご馳走さまでした。もし次また対馬に来ることがあれば、かならず訪れたいお店です。

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日が傾きはじめた頃、厳原の上見坂公園に向かいます。

景色が一望できます。綺麗!

ここは戦後に訓練のために自衛隊が拵えた施設がいくつも眠っている場所で、塹壕や兵器廠などの見学をしながらこの日は過ぎていきました。

申し訳程度に、このときにやっと見つけたツシママイマイ(ツクシマイマイ対馬個体群)の殻とツグミ類の羽を……。

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今回の旅はこれでおしまい。この翌日、朝8時半の便で対馬を発ち、福岡空港を経由して羽田へ、そして家へと帰りました。(福岡-羽田便で最推しのボーイング787-8に乗ったよ!)

この時期にしては生き物の姿を見ることができたし、おいしいごはんに出会えた素敵な旅でした。

皆さまも行きましょう、あなご亭!

ありがとうございました、対馬で出会ったみなさま。

鱗音 -scaletone-

標本作成ユニット「鱗音 -scaletone-」公式サイトです。 主に昆虫の定格標本、動態標本、魚類・両生類・爬虫類を中心とした透明化骨格標本、鳥類を中心とした剥製標本、各部位の標本、羽の額装標本などを扱っています。

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