国立科学博物館 特別展『鳥』で剥製をいっぱい見てきたよ!

皆さまこんばんは。鳥類担当、こりんです。

先日、話題の科博特別展『鳥』を観に行きました。

行くまではあんまり期待していなかったのですが、いざ現着すると圧倒的な標本数にびっくり……!

じっくりしっかり楽しむことができました。

この『鳥』展ですが、詳しい紹介などはたくさんの方が既にしてくださっているので割愛します。

私が今回鳥展に行った理由は、ズバリ「標本をたくさん脳にインプットすること」。

巧い標本はなぜ巧いのか、イマイチな標本はなぜイマイチなのか、ポージングやあんこの量、修復のやり方、足や嘴などの塗りの観察、そんないろんな標本にまつわることを観察して、頭に叩き込んで、次は自分のアウトプットに活かせるよう勉強をしに行きました。

このレポートでは、そんな私なりの「真似したい標本」を写真を交えながら紹介していきたいと思います。しばしお付き合いくださいませ。

まずこのキジの母衣打ちの躍動感……!ただ立ち姿にするのもいいですが、どうせならこういった生態に即した標本を作りたいもの。憧れの一作です。ところで顔周りの肉付けはどうやっているんでしょう。まだまだ勉強しなければならないことが山積みです。ケーンケーン!と声が聞こえてきそうです。

そしてこのキンクロハジロの端正な立ち姿。羽に乱れもなくまさに理想の標本です。カモ類、冷凍庫にたくさんいるので一羽ずつ標本にしていきたいのですが、うまくできるか不安でまだ手を出せていません。こういう標本が作りたいとしっかり目に焼き付けておきます。あんこの量や形が適切で無いと、毛羽だったり貧相になったりしてしまいます。

フライフィッシングでは有名どころ、コクジャクです。こういう美麗種も憧れます。一生この手に来ることはない種類ですが、それは私に実力とツテが無いせいなのでしょうがないです。いいなあ、こんなお仕事ができればなあ。

気を取り直してカッコウ。これ作ってた時楽しかっただろうなあ……杜鵑の類は皮が破れやすいと聞いたことがあるけれども、それはそれとしてやっぱりこういう生態に準拠したかたちの標本はいいですね。カッコウ!と鳴いた時のコウ!の部分でおしりをぴょこんとあげる瞬間です。アクリルのケースもいいですね。いくらするんだ……。

キンバト。なんて美しい標本なんでしょう。ハト類は皮が比較的薄く脂も多く、首のとこなんかは綺麗にあんこを詰めないとこうなりません。肩の張りかたや翼の収まりなど、お手本にしたいです。

憧れのハチドリ!この小ささを標本にするの絶対楽しかったと思います。ところで初めて知ったんですが、ハチドリってアマツバメ目だったんですね……。

ハト2連チャンでいきましょう。ミノバトとカラスバト。どちらも造形が素晴らしく自分の未熟さに恥じ入るばかりです。とくにこのカラスバト、胸の張りかたが生きている姿そのもので素晴らしいと感じました。どうやったら上手く作れるんだ、ハト……。

例のユキドリです。かわいいですね。

今回おそろしく心に響いたタカサゴクロサギ。なぜこのポーズにするに至ったか訊いてみたいです。

あまりに美しすぎる。滑らかな流線型はサギを作る上で大事にしたいポイントです。

このヨウム、生きてる……!!この特別展の生態剥製でいちばん生きているのはこの子ではないでしょうか。目線、重心、翼の角度、羽の持ち上がりかた、なにをとっても「生きているうちの一瞬」です。自分の作る子たちもこうありたいものです。

さいごに。……難しいんですよ、ツバメって。どんなに丁寧な仕事をしても、どうしても背中の羽の間から白い部分が見えちゃったりして。なんですか?これ。ぜったい鳥が作ってる。鳥自身が羽繕いしないとこんなに綺麗にできませんって。ツバメ、いつかちゃんと、こんなふうに作れるようになりたいです。……コツ、教えてくれないかなあ……


会期があと少しとなりました特別展『鳥』は莫大な量の本剥製を見られるので、標本を勉強している方もインプットのために行くとかなりの勉強・刺激を受けられると思います。私はまだ見たものを頭で消化しきれていません。

お近くの方はぜひ足を運んでみてくださいね。遠くの方も、私のブログや他の方の記事がお役に立ちますように。それではまた、Xの方でお会いしましょう。

鱗音 -scaletone-

標本作成ユニット「鱗音 -scaletone-」公式サイトです。 主に昆虫の定格標本、動態標本、魚類・両生類・爬虫類を中心とした透明化骨格標本、鳥類を中心とした剥製標本、各部位の標本、羽の額装標本などを扱っています。

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